日本では、ドコモとAUがシェア争いを繰り広げつつ、AUの親会社KDDIが増配を決めるなど、携帯電話業界がそれなりに好調ですが、米国では雲行きが怪しくなっているようです。
米国で携帯電話業界と規制当局が衝突–通話料に対する課税をめぐりより
Cellular Telecommunications & Internet Association(CTIA)のSteve Largent会長は、今週、米ルイジアナ州ニューオリンズで開催された世界最大のワイヤレス業界見本市「CTIA Wireless 2005」で行った講演の中で、米国の一般の携帯電話利用料金に占める州税と連邦税の割合はすでにおよそ17%に達しており、2003年に比べ3%増加していると語った。
17%・・・。米国は州ごと消費税率(無税~8%弱)が異なるため、実際には20%超になっている地域もありそうです。
日本の場合は電波の分配などで規制・行政介入がありますが、税金となると意外と安いですね。
電波の分配にあたっては、欧米のような電波狂想曲は起きずに既存のキャリアーに振り分けていましたし、年間の利用料にしても、月々の基本料金でまかなえそうな金額です。消費税とあわせても10%もいかないのではないでしょうか。
また、サービス面では全国ほぼどこでもつながる、緊急時の通報でも大体場所が特定できる(とされる)、携帯番号の市外局番が独自(090、080など)といった特徴がありますね。
さて、米国では高い税金の割には・・・、という役所仕事のお粗末さがあるようです。
「ベイエリア・ママ」 November 30, 2004:携帯から救急ではこんなことが。
(略)でてきたのは、「ただいまオペレータは全員、ほかの電話にでています。しばらくそのままお待ちください」という録音テープの声だった。思わず、自分が本当に911にかけたのかどうか携帯電話の画面を確認してしまった。確かに「Emergency call」とでている。私は確かに911をダイヤルした証拠だ。うん?緊急電話なのに、待たせるか? これはジョークなんだろうか。。。?
以下が種明かしである。
九つのカウンティから成るベイエリアでの携帯電話からの911はすべて、なんと、Vallejoという町にあるハイウェイパトロールのセンターにつながる。ベイエリアといってもかなり広いから、そこからのすべての携帯電話からの911がこのセンターで扱われるとなると、(オペレータの数にもよるが)待たされる確率はうんとあがることになる。
まず、そこでオペレータにつながったら、かけている人が自分の現在地を伝え、そのオペレータが地域の消防や警察にそれから電話をつなぐ、というシステムになっているらしい。
さらに、ベイエリアの携帯電話のネットワークでは、その通話がどこからかけられているか、場所を特定できない、とまで書いてある。また、待たされたあげく、結局携帯電話からは911につながらなかった場合もある、というから驚きだ。
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
外にいるときに心臓マヒで倒れたりしたら、死ねますね(汗)。
昔このあたりに住んでいたのでなんとなく位置関係はわかるのですが、下手すると4~50キロ先のセンターにつながっているわけで、すぐに対応できるわけではないでしょう。
実際、初期対応のまずさ&位置特定システムの欠如で死者も出ているようです。
で、税金も取られているようです。
ニューヨーク州内の携帯電話利用者は現在、毎月1ドル20セントをE911サービスのために支払っている。この料金は2002年までは毎月70セントだった。地方自治体によってはさらに月30セントほど請求しているところもある。(Hotwired Japan:2003年4月18日 2:00am PT:携帯の緊急通報位置追跡システム導入が遅れる米国 より)
しかし、徴収した税金は8割近くが警察の運営費に流用され、救急電話にかけてきた人の位置を特定するE911(911=日本の110と119番にあたる番号)への投資はほとんどなされてこなかったとのこと。
州ごとに立法を行っているため(その数1,500とも!)、今後ますます携帯利用者への負担が重くなる、と予想されています。ただでさえ番号ポータブルで混乱しているわけですから、はたしてどうなることやら。
その一方で、携帯電話が市内かけ放題というサービスも登場しているようで、既存の携帯電話事業会社には頭の痛いことしきりかと。