大手自動車部品メーカー、米デルファイ破綻か?

米国最大の自動車部品メーカーであるデルファイが、顧客の米国自動車メーカーが販売不振となり、またGMからスピンオフした際に、費用のかかる福利厚生を引き継いだことでコスト高の体質が温存されてしまったため、破綻の危機にあるようです。
米デルファイ、破綻回避へGM・UAWと協議
米デルファイが赤字転落、費用削減しなければ破たんあり得ると警告
現在、UAW(全米自動車労働組合)や主な取引先のGMと再建策を協議しているとのことですが、さしあたりUAWとコスト削減策(福利厚生や賃金のカット)で合意に至れるかが問題となりそうです。
ただ、AP電:Delphi, Visteon blame losses on labor costs, production cutsによると、デルファイの福利厚生については、GM(含むデルファイ)とUAWの協定が2007年まで続くため、これを盾にしてUAWが合意しない可能性も残されています。
前述の日経によれば

 同会長(筆者注:デルファイのロバート・ミラー会長のこと)は「経営再建協議は建設的に進んでいる」としながらも「現状のコスト構造ではあと2年ももたない」と発言、破綻の可能性をちらつかせた。

同業のビステオン(フォードからスピンオフ)も同じようにコスト高+主取引先の販売不振で苦しんでいるようです。
Delphi, Visteon blame losses on labor costs, production cuts より

Both companies said production cuts at GM and Ford hurt their bottom line. GM slashed production by 11 percent between January and June and plans a 9 percent cut in the third quarter, while Ford cut production by 7 percent in the first half and plans a 2 percent cut in the third quarter. Ford accounts for 64 percent of Visteon’s business, while GM makes up half of Delphi’s sales.
Delphi and Visteon also blamed their losses on high labor costs set by the automakers before the spin-offs. The number of UAW-covered hourly employees at Visteon will drop from 17,400 to 5,000 once the restructuring is completed, but Delphi remains saddled with high labor costs until 2007, when GM renegotiates its contract with the UAW, which represents about 25,000 Delphi hourly workers.

ただ、同記事によると、ビステオンはだいぶリストラが進んでおり、一部の不採算製造ラインについてはフォードに譲渡したとのこと。


GMの経営危機騒ぎから一連の流れを見ると、いよいよ米自動車業界も曲がり角に来ているのか、と思います。
特に、(自動車業界に限らず)強力な労働組合により、人件費・福利厚生費が高止まりさせられていることが大きな要因でしょうね。
あとは、労使の意思が統一されていないため、「会社の利益」をまったく無視した法外な要求が出やすい、というのも米自動車業界(と大半のオールドエコノミー業種)の弱点ですね。
さて、どうなることやら。

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