【薄型ディスプレイシリーズ】パイオニア、プラズマ新ライン計画凍結

ライブドアにかまけて薄型ディスプレイについてさぼっていたら、こんなニュースが。

パイオニア、プラズマ新ライン計画を凍結
 パイオニアは2005年度中にも着工する予定だったプラズマパネルの新ライン計画を凍結する。DVD(デジタル多用途ディスク)レコーダーを合わせた家電事業が価格下落などで低迷するなか新規投資を抑制、量拡大より収益改善を優先する。当面、同パネルは既存設備の歩留まり向上などを進め、年産110万台の生産能力上限を引き上げる形で需要増に対応する。
 計画凍結で最終調整に入ったのは、国内での立地を軸に約300億円の投資を検討していた新ライン。年産能力は42インチ以上の大画面機種約50万台を予定。伊藤周男社長は昨年11月時点で「05年度中にも着工する」と表明。07年度には現状より5割増の年160万台体制を整える方針だった。しかしその後の年末商戦でプラズマテレビを含む家電価格が急落。今年1月末の決算発表で、3月期の連結最終損益を80億円の損失と9年ぶりの赤字予想に下方修正した。既存のプラズマパネルの生産能力は昨年にNECから買収した設備を合わせて年110万台。しかしパネルの外販先であるソニーのプラズマテレビ撤退方針に伴い調達量が減少し、設備稼働率が低下している。 (07:00)

このニュースを受けて、3/22の終値は47円高の2,010円(+2.39%)となっています。
パイオニアが1月末に出した2004年10―12月期の連結決算(米国会計基準)は、前年同期に比べてホームエレクトロニクスが赤字転落、カーエレクトロニクスが61%減益となっています。
また、同時に通期についても80億の赤字に転落するとの予想が出されています。
パイオニア:平成17年3月期 第3四半期 財務・業績の概況(連結)【米国会計基準】
2005年3月期 第3四半期決算説明会資料
また、キャッシュフロー(CF)のうち、投資関連のCFがかなりマイナスになっており、さしあたり必要がないプラズマの新ライン凍結を決めるきっかけとなっていたものと思われます。
2005年3月期第3四半期決算説明会 質疑応答を見ると、それとない予兆はあったようです。
パネル供給先のソニーが極度といって差し支えない業績不振に陥り、セールスが伸び悩んでいたのも大きいのかもしれません。→参照:CNET JAPAN:主力ハイテク企業、第3四半期決算で明暗を分けた背景


さて、今後のパイオニアはどうなるのでしょうか。
1.高級路線
Hanover Cafe さんの高性能プラズマテレビで巻き返しか-パイオニアでは、プラズマテレビに代表される高性能商品で「量より質」を追い求めるシナリオが提示されています。この中で、「質」戦略を維持するには、次の方策が有効としています。

このようなポジショニングをとったとき、マーケットシェアーはそれほど重要ではなく、それよりも利益率をメインの指標とすべきであろう。なぜなら、マーケットシャアーを指標とするのは前提条件として「質より量」の戦略をとる場合に発揮するものであり、これはProduct Leadershipを目指すものとは正反対である。利益率を重視し、たとえば、値段を少し上げることでシャアーが下がったとしても利益率が改善するのであれば、値段を上げるべきであろう。

日経の3/22付記事では、「新ライン計画を凍結、当面は外販先の開拓や自社ブランド製品の拡販に注力する」との記載もあり、無理に作らない・作るにしても高級路線が維持できる大型ディスプレイという得意分野に注力、という展開に落ち着きそうです。
また、採算が悪化することが目に見えている投資を凍結し、歩留まりを高めて生産量を上積み&コスト削減し、資金をブランド構築・開発に振り向けることは、今後の「質」を高める上でも有効ですね。
実際、NECから買収したPDP製造子会社が収益にまったく貢献していない状況(参照)から考えても、これ以上の新規投資を行うより効率が良いと思われます。
2.研究への注力
最近では、有機EL分野で時々パイオニア(含む東北パイオニア)の名前が取りざたされているようですね。
たとえば、薄くて巻ける有機ELディスプレー・京大など開発などが代表例かと。
出荷が遅れているなどの点で収益への貢献が図れていませんが、第二の柱となるのではないでしょうか。
また、知財分野の強化を挙げていることからも、今後はより技術力の高い、差別化を図れる製品作りが可能になると見られます。


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